第0回.アニメ調レンダリングとは

はじめに

 今回からアニメ調レンダリングを通してUnityShaderを更に深く解説していこうと思います。
実装はUnityですが、考え方は他のレンダラにも適用可能なので、Unity関係なくトゥーンレンダリングに興味のある方にも有用かと思います。

呼び方

 アニメ調レンダリングと言っていますが、他にも様々な呼び方があります。

NPRとStylizedはアニメ調に限らず、水彩風や油絵風なども含まれているかと思います。

イラストや漫画ではなくアニメ調

 アニメ制作は複数人による共同作業であり、物量も多いです。したがって一般的に1枚イラストや漫画に比べて簡略的で、かつ作品全体にわたって一貫した表現方法がとられます。すなわちイラストや漫画に比べると、CGで作りやすい表現であると考えられます。
(逆にシンプルなため誤魔化しが利かない、という見方もできます)

アニメ絵の特徴

 まず「アニメ絵」の特徴を掴まなければ、それをシェーダーで表現することは出来ません。アニメの制作段階を追っていくことで、要素ごとに分解してみましょう。

アニメの作画は大まかに、

原画+動画(実線、色トレス線)->彩色(塗り)->撮影(コンポジット)

のような工程を辿ります。要素ごとに見ていきます。

実線

 通常の輪郭線のことです。アニメの場合、この実線をガイドとして色が塗られますが、
CGでは逆に塗りの方が最初で、塗りから線を生成する形になります。

彩色(色トレス線+塗り)

 アニメにおける色トレス線とは、色(陰影)を塗るための塗り分けガイド線のことです。彩色段階で、この色トレス線で囲まれた範囲を塗りつぶすことになります。
 CGでは、陰影は面の法線に基づいて計算されます。滑らかな表面ではアニメのようなクッキリハッキリとした境目は発生しないため、何らかの手法で陰影を区切る必要があります。

撮影(コンポジット)

 Unityではポストエフェクトのことになります。色調整をしたり、エフェクトを入れたりします。この部分はアニメでもUnityでも同じです。

まとめ

 アニメ絵を再現するにあたって大事なのは、線を生成することと陰影を区切ることです。陰影を区切るのも、境界線を作るという意味では線を生成している(色トレス線を生成)ので、アニメ絵の本質は線にあると言えそうです。

 さて、次からは実際にシェーダーを書いていきたいと思います。